動く木のおもちゃ

カンナ刃の裏は何で凹んでいるの?( 裏すき)

木工教室ブログ:2021/2/19

昨日の朝の家具工房です。また、降りましたね。外気温0.5℃。
家具工房の風景

家具工房の暖炉
小ぶりの薪ストーブですが、これで工房1階、45畳の機械室、ぜ~んぶ暖まります。薪ストーブってすごい!



今日は、カンナのお話の第三回です。


第一回では、

カンナは、メンテナンスを続けて使い込んだら、どうなる??(カンナは使い込んだらどうなる?


第二回では、

カンナの刃は、日常の研ぎを重ねると、いずれ使えなくなる、何で??(カンナの刃の裏切れ・裏打ち

でした。



そして今日は、

刃の裏はなんで凹んでいるの?


写真は、以前からお見せしているカンナの刃の裏側です。

カンナの刃の裏すき

裏透きのイラスト

ところで、

カンナの刃の裏は何で凹んでいるのでしょうか?(裏すき)

他の道具にも、たくさんあります。刃の裏側が凹んでいます。

小刀の裏すき

小刀


包丁の裏すき

そして、刺身包丁(柳刃包丁)


包丁の裏すき

刺身包丁の刃の拡大


はさみの裏すき

そいでもって、裁ち(たち)ばさみ、

写真ではわかりにくいですが、刃の裏が凹んでいます。


日本のムカシからの刃物(片刃)は、刃の裏側が凹んでいます。


片刃と両刃



刃の裏が凹んでいるとどんなメリットが?


左が、中央部が凹んでいる刃、右が出っ張っている刃

刃裏のイラスト


そして、どちらも、刃の裏は平面ではありません。

刃の裏は研いで平面にしますが、どちらが平面を出しやすいしょう?


下は、刃の裏を研いでいるイメージです。

カンナの刃を研いでいるイメージ

想像でお分かりだと思いますが、裏が凹んでいる方が平面を出しやすい。

凹んでいる方が、研ぐ面積が小さいため、平面を出すのが簡単です。




そして、実は、

研ぐ部分の面積の話だけではありません。

下のお話は、私が、他の情報を探す限り、その記事を見つけられませんでした。

でもホントのお話です。




広い面積の平面を出すのは難しい

カンナの刃の裏のイラスト

仮に、上写真のような、既に刃の裏が、完全な平面になっている刃を普通に研いだとき、どうなるでしょう。

実は、微妙に平面でなくなり中央部が盛り上がってきます。


理由は、

研ぐときに、人の手の動きは、多かれ少なかれ微妙に前後・左右にブレます。

そうすると、刃の中央部が膨らんできます。

ブレがある限り、程度の差こそあれ、中央部が膨らみます。

その膨らみは、木を削るカンナの刃の刃先にも影響が出てきます。


カンナ屑の厚さは、大変大雑把にですが、1mmの約1/10で、0.1mmです。

カンナの薄削りの競技会が、更にその約1/10で、0.01mmです。


少なくとも、その単位くらいの平面の精度が必要となってきますが、

その単位で、広い面積を中央部を盛り上がらせずに平面を出すためには、

結構な技術と時間が必要となります。



ところが

裏を凹ませていることで、

多少の手ブレが出ても、中央部が膨らみにくく、平面を出すのが簡単になります。


裏すきがどんどん減る?


ということで、

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刃の裏は、何故、凹んでいるのか?

それは、刃の裏の平面を出すのが簡単だから!

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そして、刃の裏は、一旦平面を出すと、日常の研ぎでは、あまり研ぎません。

過去、教室でお教えさせて頂く中、勘違いされている方が多い部分です。

刃裏を研ぎ続けると、裏すき部分がどんどん減ってきます。


今日は、ここまでです (^^




◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-341-0838