昨日の朝の家具工房です。また、降りましたね。外気温0.5℃。
小ぶりの薪ストーブですが、これで工房1階、45畳の機械室、ぜ~んぶ暖まります。薪ストーブってすごい!
今日は、カンナのお話の第三回です。
第一回では、
カンナは、メンテナンスを続けて使い込んだら、どうなる??(
カンナは使い込んだらどうなる?)
第二回では、
カンナの刃は、日常の研ぎを重ねると、いずれ使えなくなる、何で??(
カンナの刃の裏切れ・裏打ち)
でした。
そして今日は、
刃の裏はなんで凹んでいるの?
写真は、以前からお見せしているカンナの刃の裏側です。
ところで、
カンナの刃の裏は何で凹んでいるのでしょうか?(裏すき)
他の道具にも、たくさんあります。刃の裏側が凹んでいます。
小刀
そして、刺身包丁(柳刃包丁)
刺身包丁の刃の拡大
そいでもって、裁ち(たち)ばさみ、
写真ではわかりにくいですが、刃の裏が凹んでいます。
日本のムカシからの刃物(片刃)は、刃の裏側が凹んでいます。
刃の裏が凹んでいるとどんなメリットが?
左が、中央部が凹んでいる刃、右が出っ張っている刃
そして、どちらも、刃の裏は平面ではありません。
刃の裏は研いで平面にしますが、どちらが平面を出しやすいしょう?
下は、刃の裏を研いでいるイメージです。
想像でお分かりだと思いますが、裏が凹んでいる方が平面を出しやすい。
凹んでいる方が、研ぐ面積が小さいため、平面を出すのが簡単です。
そして、
実は、
研ぐ部分の面積の話だけではありません。
下のお話は、私が、他の情報を探す限り、その記事を見つけられませんでした。
でもホントのお話です。
広い面積の平面を出すのは難しい
仮に、上写真のような、既に刃の裏が、完全な平面になっている刃を普通に研いだとき、どうなるでしょう。
実は、微妙に平面でなくなり中央部が盛り上がってきます。
理由は、
研ぐときに、人の手の動きは、多かれ少なかれ微妙に前後・左右にブレます。
そうすると、刃の中央部が膨らんできます。
ブレがある限り、程度の差こそあれ、中央部が膨らみます。
その膨らみは、木を削るカンナの刃の刃先にも影響が出てきます。
カンナ屑の厚さは、大変大雑把にですが、1mmの約1/10で、0.1mmです。
カンナの薄削りの競技会が、更にその約1/10で、0.01mmです。
少なくとも、その単位くらいの平面の精度が必要となってきますが、
その単位で、広い面積を中央部を盛り上がらせずに平面を出すためには、
結構な技術と時間が必要となります。
ところが
裏を凹ませていることで、
多少の手ブレが出ても、中央部が膨らみにくく、平面を出すのが簡単になります。
裏すきがどんどん減る?
ということで、
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刃の裏は、何故、凹んでいるのか?
それは、刃の裏の平面を出すのが簡単だから!
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そして、刃の裏は、一旦平面を出すと、日常の研ぎでは、あまり研ぎません。
過去、教室でお教えさせて頂く中、勘違いされている方が多い部分です。
刃裏を研ぎ続けると、裏すき部分がどんどん減ってきます。
今日は、ここまでです (^^