女性がカンナ(鉋)で削る

女性でも大きいカンナで削れる?

木工教室ブログ:2019/4/19

男性用?のカンナで女性が削る!


女性の方がカンナで削られています。お二人ともやや小柄。

カンナのサイズは、一般的に、本職の男性が使う一番大きいカンナ「寸六(スンロク)」というサイズ。

Sさんがカンナ削りをしている

Kさんがカンナ削りをしている

お二人とも、家具基礎コースを修了された方で、「正しいカンナの削り方」を身につけられているとはいうものの、

大きなカンナで、じょうず~♪に削られています。


カンナに体重がうまく乗らない場合、ドッドッドッっとあばれてエンストしたみたいになるため、木工教室の机の高さは、カンナ削りで体重が乗せやすいようにと、やや低い。でも、女性の小柄な方は、やはり体格的に不利なのですが、…。


二つのカンナサイズの比較

写真の左のカンナは、木工教室の標準のカンナで、平面削りから、木端・木口削り、目違い払い、面取り、などと、これ1本あれば、作業のほとんどカバーできます。(実は、このカンナを1本、持っていれば、ほとんど大丈夫!)

そして、右が寸六サイズで、ふた回り大きい。

裏金を利かせたときの木くず

削りの最終段階になると、上の写真のように、逆目ぼれ(木のめくれ)を抑えるための木屑は、ストレートではなくヨジリヨジリで、削るのが結構重い。でも、体力的に不利な女性でも、ちゃんと削れるんですね。


ムカシ、「常識の中に求めるものは無い」などと思っていた、横着な私ですが、やはり、寸六カンナが男子、寸四(すんし)が女子などと、どこかで聞いた情報が、頭のなかで固まちゃうと良くないですね。



正しく仕上げることができれば、こ~んなに美しい♪


チェリーのダイニングテーブル
Kさんのダイニングテーブル(⇒ このブログへ

メープルのダイニングテーブル
Iさんのダイニングテーブル(⇒ このブログへ



今回の寸六のカンナのセッティングは、いかに?

アマチュアの女性の方で、寸六のカンナでキレイに仕上げるのは、正しい削り方をマスターしていても、カンナのセッティング次第ではやはりムツカシイと思います。

今回、以下の2点が、通常のカンナのセッティングと異なります。
  1. カンナ刃の刃先の角度が小さい
    • カンナ刃の刃先の角度
    • 刃先の角度は、ざっくり、柔らかい針葉樹25度、硬い広葉樹30度と言われています。木工教室で使うカンナは、27~32度のセッティングです。角度が大きい方が、逆目ぼれが止まりやすくなりますが、カンナで引くのが重くなります。上の写真の木は広葉樹なのですが、今回の寸六カンナの刃先の角度は27度で 角度は小さめでカンナで引くのがやや軽いです。
  2. 刃の研ぎ加減
    • 刃先を研いで切れ味を増した方が、逆目ぼれは出にくくなり、カンナで引くのは軽くなります。但し、切れ味を出すほど研ぐのに時間がかかります。私は、必要最小限にしか研ぎませんが、上の写真の寸六カンナは、いつもより刃を研いで、カンナを引くのが、幾分軽いです。

広い面を削るときの、微妙な!カンナの調整

ここから先は、前のお話から離れて、カンナ調整のコツのお話です。木工教室の皆様方はわかると思います。

広い面を削るとき、わずかなカンナの調整のズレが、カンナ削り(仕上げ)に余計に時間がかかったり、もしくは、その後のサンディング作業に大きな手間をかけてしまいます。広い面を削るとき、以下の2点の調整は、家具基礎コースで削っていた時よりも、慎重に、慎重に調整デス。但し、一旦、身に付くと、そう時間はかかりません。
  1. 裏金の詰め加減
    • 裏金をしっかり詰めると逆目ぼれは出にくくなりますが、カンナを引くのが重くなります。家具基礎コースでは、髪の毛1本程度を実践していますが、ちなみに、髪の毛1本と3本では、逆目の止まり加減はかなり違います。 木の逆目の出やすさは、木によってそれぞれですので、削ろうとしている木に対して、最低必要な、裏金の詰め加減を探します。ベストポジションは結構微妙で、カンナ削りの最終段階では、特に慎重に!
  2. 刃の出具合の調整(木のくずの厚さの調整)
    • くずが厚すぎると逆目が出やすくなります。そして、逆目を抑える場合の削りは、勢いで削るのではなく、ゆっくり削る必要がありますので、くずが厚いと削るのが重くて辛いです。ちょうどいい刃の出具合のベストポイントを探します。これも、結構微妙!。



前のブログへ ← → 次のブログへ



◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-341-0838