四方反り台カンナで座刳り(ザグリ)、子供椅子

汗と愛情の!子供椅子

木工教室ブログ:2024/9/1

Kさんの子供椅子。

素敵なフォルム!

子供椅子 チャイルドチェア

木はブラックチェリーですが、色が新品の時より、既に濃色になっています。

イイ感じです。

実は、通常、完成後すぐに写真を撮影させて頂くのですが、

撮影したデータが壊れて…。

それで、再撮影のため、わざわざ、持って来て下さいました。

そして、時が経ってしまったので、新品の時より濃色です。

Kさん、大変お手間をおかけいたしました。

ありがとうございます。


曲線が多い椅子

いろいろなところに曲線が入っていますね。

背もたれ、肘置き、座面、

曲線が多い椅子

そして、後脚。




また、座面は座り心地のため、カンナで削って凹みを入れています。

木の表情が美しい。

仕上げの良いので、生地が持つ本来の美しさが引き立っています。

そして、座面中央の光ったラインがアクセントになっていますね。


既に、お子さまが何度も座られているとのことで、

ほどよい加減の光沢が、 これまたイイです。


試作


子供椅子といえども、今回のKさんの椅子は、大人用の椅子の構造となんら変わりません。

このまま大きくすれば、大人用へと変貌できます。

そして、これだけの椅子を、いきなり一発、本番でつくるのは、

やはり、ムツカシイ。

それで、試作をされています。



上写真は、2本の背もたれの位置を決められているところです。

あ~でもない、こ~でもないと、いろいろ試行錯誤を重ねられ、

最終的に完成した、試作品の椅子が下写真です。

椅子の試作

最終作品は、この試作品と同じ寸法です。


試作…

たくさん汗をかきながら、

楽しくあり、苦しくあり。

そして、汗をかいてきたから、完成は、余計に嬉しい♪


以前のブログでKさんの試作風景を掲載しております。

ご興味の方は、ご覧ください。

 2024/3/10
(No.
416
子供椅子とサイドテーブル
楽しかったり苦しかったり、家具の試作品二つ




椅子裏のコマ止め


座面の固定は、本格的なコマ止めを使用されました。

わざとコマを見せられています。

木のコマ、量産品では、見たことありません。


Kさん、大変、お疲れさまでした。

愛情のこもった子供椅子、

バンバン、ご利用されているとのことで、

それが、何よりも嬉しいです。


<北九州市、女性>





ご興味の方へ

座ぐり(座面の掘り込み)

四方反り台カンナ

座ぐりには上のようなカンナを使っています。

「四方反り台カンナ」と言います。

私は、刃先のカーブが大きい、小さいなどと、度合が異なるいろいろな「四方反り台カンナ」を準備しています。

普通の平カンナを改造させてものも入っています。


カンナで座刳り(ザグリ)

そして、ここでは、2種類の「四方反り台カンナ」を使っています。

上写真は、最初に使ったカンナで、「刃先のカーブが急」なのを使っています。

削る時の抵抗が少なく、軽くドンドン削ることが出来ます。


カンナで座刳り(ザグリ)で出た屑

Kさんが削りだした屑です。

削りの時、こんな厚めの屑が、一面に広がります。

座面を削るときの、独特のシーンです。


カンナで座刳り(ザグリ)

2番目には、「刃先のカーブが緩い」のを使っています。

座面の曲面のカーブに近いです。

このカンナの刃先のカーブは緩く、市販品にないため、平カンナを改造しています。


下図の様にカンナを運ぶことで、際のラインがしっかりと出す事ができます。


四方反り台カンナで座面w仕上げる方向


また、「座面の曲面の度合い」と、「カンナの刃先の曲線の度合い」が近いことで、

木の表面に凹凸ができにくく、曲面の淀みを極力減らすことができ、

結果的に、サンディングの時間を減らすことができます。




クオリティーを下げないために重要なこと
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座面の「平面部分」と「座ぐりで凹ませた部分」の境界のところには線が出ます。

「平面部分」と「座ぐりで凹ませた部分」の境界は、「平面」と「凹部」との境界の「」でしかありません

不注意に、その境界線の真上を削ると、凸部ができて、丸みが出てきて、線は出ません。

意図的に計画的に一貫して、丸みを出す場合は問題ないのですが、

一貫性がない場合、

なにか締まらず、ルーズで、メリハリが無くなりがちです。

線を出すのであれば、凸部を決して作らず一貫して線を出すのが良いでしょう。


「ぼんやり、ほっこり」をテーマとする場合は、

最初から意図的に計画的に丸くするのが良いと思います。



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ときどきブログで書いています

座面の掘り込み、

トリマー、昇降盤、座繰りカッター、グラインダー、

いろいろ試しましたけど、結局、カンナでした。

一周回って、やっぱりカンナ。

恐るべしカンナ!


恐るべし日本のカンナ


当工房には、昨秋、アメリカ、香港から、木工を学びにいらっしゃいました。

今年は、カナダの方が先週から10月初旬まで、それ以降、オランダ、スウェーデン、アメリカから短期にいらっしゃます。


私は特に、外国人の方向けに募集しているわけではありません。

そして「レッスンを受けたい」とのメール頂いた折りには、必ず返信の際に、

「私、英語が上手く話せず、グーグル翻訳機使いますよ~」

とお伝えするのですが、

「いや、それでも良いから」

その熱量は結構すごいです。

みなさんのご興味は日本の道具とその技術。

恐るべし日本の道具、そしてカンナです。



話は変わりますが、

昨今の日本ブーム、

ブームという言葉は、短期的な盛り上がりのイメージですが、

私の感覚では、もっと長期的なものに感じます。

それは、アニメや音楽などの文化的な側面から、

より奥深いところにシフトしていっているような気がします。

例えば、「他人への配慮」などといった、日本人の気質や国民性にまで。

それは、資本主義、弱肉強食、個人主義、などという欧米発祥的なものと

反対側に位置するものに興味が持たれているのかもしれません。

またそれが、興味にだけに留まるかどうかは…。


◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-342-9165