Kさんの子供椅子。
素敵なフォルム!
木はブラックチェリーですが、色が新品の時より、既に濃色になっています。
イイ感じです。
実は、通常、完成後すぐに写真を撮影させて頂くのですが、
撮影したデータが壊れて…。
それで、再撮影のため、わざわざ、持って来て下さいました。
そして、時が経ってしまったので、新品の時より濃色です。
Kさん、大変お手間をおかけいたしました。
ありがとうございます。
いろいろなところに曲線が入っていますね。
背もたれ、肘置き、座面、
そして、後脚。
また、座面は座り心地のため、カンナで削って凹みを入れています。
木の表情が美しい。
仕上げの良いので、生地が持つ本来の美しさが引き立っています。
そして、座面中央の光ったラインがアクセントになっていますね。
既に、お子さまが何度も座られているとのことで、
ほどよい加減の光沢が、 これまたイイです。
試作
子供椅子といえども、今回のKさんの椅子は、大人用の椅子の構造となんら変わりません。
このまま大きくすれば、大人用へと変貌できます。
そして、これだけの椅子を、いきなり一発、本番でつくるのは、
やはり、ムツカシイ。
それで、試作をされています。
上写真は、2本の背もたれの位置を決められているところです。
あ~でもない、こ~でもないと、いろいろ試行錯誤を重ねられ、
最終的に完成した、試作品の椅子が下写真です。
最終作品は、この試作品と同じ寸法です。
試作…
たくさん汗をかきながら、
楽しくあり、苦しくあり。
そして、汗をかいてきたから、完成は、余計に嬉しい♪
以前のブログでKさんの試作風景を掲載しております。
ご興味の方は、ご覧ください。
座面の固定は、本格的なコマ止めを使用されました。
わざとコマを見せられています。
木のコマ、量産品では、見たことありません。
Kさん、大変、お疲れさまでした。
愛情のこもった子供椅子、
バンバン、ご利用されているとのことで、
それが、何よりも嬉しいです。
<北九州市、女性>
ご興味の方へ
座ぐり(座面の掘り込み)
座ぐりには上のようなカンナを使っています。
「四方反り台カンナ」と言います。
私は、刃先のカーブが大きい、小さいなどと、度合が異なるいろいろな「四方反り台カンナ」を準備しています。
普通の平カンナを改造させてものも入っています。
そして、ここでは、2種類の「四方反り台カンナ」を使っています。
上写真は、最初に使ったカンナで、「刃先のカーブが急」なのを使っています。
削る時の抵抗が少なく、軽くドンドン削ることが出来ます。
Kさんが削りだした屑です。
削りの時、こんな厚めの屑が、一面に広がります。
座面を削るときの、独特のシーンです。
2番目には、「刃先のカーブが緩い」のを使っています。
座面の曲面のカーブに近いです。
このカンナの刃先のカーブは緩く、市販品にないため、平カンナを改造しています。
下図の様にカンナを運ぶことで、際のラインがしっかりと出す事ができます。
また、「座面の曲面の度合い」と、「カンナの刃先の曲線の度合い」が近いことで、
木の表面に凹凸ができにくく、曲面の淀みを極力減らすことができ、
結果的に、サンディングの時間を減らすことができます。
クオリティーを下げないために重要なこと
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座面の「平面部分」と「座ぐりで凹ませた部分」の境界のところには線が出ます。
「平面部分」と「座ぐりで凹ませた部分」の
境界は、「
平面」と「
凹部」との境界の「
線」でしかありません
不注意に、その境界線の真上を削ると、凸部ができて、丸みが出てきて、線は出ません。
意図的に計画的に一貫して、丸みを出す場合は問題ないのですが、
一貫性がない場合、
なにか締まらず、ルーズで、メリハリが無くなりがちです。
線を出すのであれば、凸部を決して作らず一貫して線を出すのが良いでしょう。
「ぼんやり、ほっこり」をテーマとする場合は、
最初から意図的に計画的に丸くするのが良いと思います。
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ときどきブログで書いています
座面の掘り込み、
トリマー、昇降盤、座繰りカッター、グラインダー、
いろいろ試しましたけど、結局、カンナでした。
一周回って、やっぱりカンナ。
恐るべしカンナ!
恐るべし日本のカンナ
当工房には、昨秋、アメリカ、香港から、木工を学びにいらっしゃいました。
今年は、カナダの方が先週から10月初旬まで、それ以降、オランダ、スウェーデン、アメリカから短期にいらっしゃます。
私は特に、外国人の方向けに募集しているわけではありません。
そして「レッスンを受けたい」とのメール頂いた折りには、必ず返信の際に、
「私、英語が上手く話せず、グーグル翻訳機使いますよ~」
とお伝えするのですが、
「いや、それでも良いから」
その熱量は結構すごいです。
みなさんのご興味は日本の道具とその技術。
恐るべし日本の道具、そしてカンナです。
話は変わりますが、
昨今の日本ブーム、
ブームという言葉は、短期的な盛り上がりのイメージですが、
私の感覚では、もっと長期的なものに感じます。
それは、アニメや音楽などの文化的な側面から、
より奥深いところにシフトしていっているような気がします。
例えば、「他人への配慮」などといった、日本人の気質や国民性にまで。
それは、資本主義、弱肉強食、個人主義、などという欧米発祥的なものと
反対側に位置するものに興味が持たれているのかもしれません。
またそれが、興味にだけに留まるかどうかは…。