木目が揃っていて、とても美しいですね。
Hさんの仕上げが良く、木目が引き立っています。
蓋も、本体とピタッーと合っています。
蓋つきの作品は、直線・直角・平面が、キチッと出ていないと、
本体と蓋がキレイに合いません。
当たり前のように思えますが、これが、精度を求められと、簡単そうに思えてむつかしい。
箱の中に入るのは、王室ご用達の工房の竹籠。
下の写真になりますが、美しいですね。
Hさんから、無理を言って写真を頂きました。ありがとうございます。
Hさん、もう一つ箱を作られました。
上の箱よりやや小ぶりです。
こちらの中に入るのは、磁器。
写真を見せて頂きお話をいろいろとお伺いしましたが、磁器といっても、
いわゆる骨董の磁器で、前の竹籠よりもはるかに貴重なものです。
私とは一生ご縁がないような代物です。
材料は、伊勢神宮の遷宮用材料などにも使われる木曽ヒノキを、
信頼があってこだわりのある材木店から購入しました。
木曽ヒノキは人工植林材と天然物の2種類あるようで、今回、柾目の天然物を入手しました。
天然物は木目のきめが細かく香りの強く最高級品になるようです。
この材料で、箱二つ分、ギリギリです。
当初、Hさん、貴重品を入れる箱が作りたいとお話があり、
想像するに、かなり高額なお品が入るようで、入れ物も、それなりに…。
アレコレお話をさせて頂くなか、結果として、木曽ヒノキで。
木曽ヒノキでしっかり作られた箱。
これ以上、保管に適した木の箱はないような気が致します。
竹籠と磁器が長生きできますように!
Hさん、大変お疲れさまでした。
<福岡市、男性>
ご興味の方へ
保管に適した木の箱とは?
おおざっぱに結論から言えば、軽い木で作る! です。
あとは、ある程度の板厚があり、密閉度の高い箱です。
物が傷むのは、湿度と温度変化。
その変化が大きければ大きいほど、物の傷みが激しくなります。
木の箱の中は、温度と湿度変化が少なく保管に適しています。
木は、その時の湿度と温度につりあった水分を含んでいて、湿度が高くなると空気中の水分を吸収し、逆に乾燥すると水分を放出します。
なので、箱の中の湿度は箱の外に比べ、変化が小さくなります。
そして、木の組織のなかにたくさん穴が開いているほど(多孔質)、湿度変化が小さくなり、
同時に、断熱が効いて温度変化も小さくなります。
木の組織にたくさん穴が開いている、ということは、軽い木ということになります。
軽い木で作った箱の方が、湿度と温度変化が小さいということになります。
日本では、桐をよく使います。
引き出しに使ったり、和服を桐ダンスに保管していますが、納得しますね。
桐はとても軽く、杉やヒノキなどの針葉樹も基本的に軽いです。
防虫という意味では、
ヒノキは虫を寄せ付けないヒノキ特有の成分があり、防虫にとても適しています。
但し、今は人工乾燥の木が多く…。
山で切った木はタップリ水分を含んでいますので、乾燥する必要がありますが、今は、乾燥させるため3年や10年もかけられませんので、人工乾燥と言って、高温にして乾燥させます。
高温にしたとき、ヒノキの中の防虫成分は、抜けないのだろうか?
たぶん、結構、飛んでいっていると思います。
そういう意味では、天然のヒノキが良いのでしょう。
値段が高いのが難点です。
今回の木曽ヒノキ、単に軽いというよりも、感覚的に通常のヒノキよりもさらに軽く、
また、天然乾燥の木特有のツヤと言いますか、粘りがでていて、…。
◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-341-0838