木曽ヒノキで作った箱

日本の銘木、木曽ヒノキで作った箱

木工教室ブログ:2021/11/25

木目が揃っていて、とても美しいですね。

Hさんの仕上げが良く、木目が引き立っています。

木曽ヒノキの箱

蓋も、本体とピタッーと合っています。

蓋つきの作品は、直線・直角・平面が、キチッと出ていないと、

本体と蓋がキレイに合いません。

当たり前のように思えますが、これが、精度を求められと、簡単そうに思えてむつかしい。


木曽ヒノキの箱の蓋を開けたところ



箱の中に入るのは、王室ご用達の工房の竹籠。

下の写真になりますが、美しいですね。

Hさんから、無理を言って写真を頂きました。ありがとうございます。






Hさん、もう一つ箱を作られました。

木曽ヒノキの箱

上の箱よりやや小ぶりです。

こちらの中に入るのは、磁器。

写真を見せて頂きお話をいろいろとお伺いしましたが、磁器といっても、

いわゆる骨董の磁器で、前の竹籠よりもはるかに貴重なものです。

私とは一生ご縁がないような代物です。



木曽ヒノキ

材料は、伊勢神宮の遷宮用材料などにも使われる木曽ヒノキを、

信頼があってこだわりのある材木店から購入しました。

木曽ヒノキは人工植林材と天然物の2種類あるようで、今回、柾目の天然物を入手しました。

天然物は木目のきめが細かく香りの強く最高級品になるようです。

この材料で、箱二つ分、ギリギリです。



当初、Hさん、貴重品を入れる箱が作りたいとお話があり、

想像するに、かなり高額なお品が入るようで、入れ物も、それなりに…。

アレコレお話をさせて頂くなか、結果として、木曽ヒノキで。



木曽ヒノキでしっかり作られた箱。

これ以上、保管に適した木の箱はないような気が致します。

竹籠と磁器が長生きできますように!

Hさん、大変お疲れさまでした。


<福岡市、男性>





ご興味の方へ

保管に適した木の箱とは?


おおざっぱに結論から言えば、軽い木で作る! です。

あとは、ある程度の板厚があり、密閉度の高い箱です。



物が傷むのは、湿度と温度変化。

その変化が大きければ大きいほど、物の傷みが激しくなります。

木の箱の中は、温度と湿度変化が少なく保管に適しています。

木は、その時の湿度と温度につりあった水分を含んでいて、湿度が高くなると空気中の水分を吸収し、逆に乾燥すると水分を放出します。

なので、箱の中の湿度は箱の外に比べ、変化が小さくなります。

そして、木の組織のなかにたくさん穴が開いているほど(多孔質)、湿度変化が小さくなり、

同時に、断熱が効いて温度変化も小さくなります。

木の組織にたくさん穴が開いている、ということは、軽い木ということになります。

軽い木で作った箱の方が、湿度と温度変化が小さいということになります。

日本では、桐をよく使います。

引き出しに使ったり、和服を桐ダンスに保管していますが、納得しますね。

桐はとても軽く、杉やヒノキなどの針葉樹も基本的に軽いです。



防虫という意味では、

ヒノキは虫を寄せ付けないヒノキ特有の成分があり、防虫にとても適しています。

但し、今は人工乾燥の木が多く…。

山で切った木はタップリ水分を含んでいますので、乾燥する必要がありますが、今は、乾燥させるため3年や10年もかけられませんので、人工乾燥と言って、高温にして乾燥させます。

高温にしたとき、ヒノキの中の防虫成分は、抜けないのだろうか?

たぶん、結構、飛んでいっていると思います。

そういう意味では、天然のヒノキが良いのでしょう。

値段が高いのが難点です。



今回の木曽ヒノキ、単に軽いというよりも、感覚的に通常のヒノキよりもさらに軽く、

また、天然乾燥の木特有のツヤと言いますか、粘りがでていて、…。





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