Woodworking lessons. Cupboard.

静かに個性を紡ぐ、ひとつのカップボード

木工教室ブログ:2025/12/31

iFデザインアワードの最終審査用の実物サンプルをマイナーチェンジをしていますが、まだ制作中。
サンプルが完成したら、撮影、提出資料作成、インボイスの準備…、そして、ドイツへの発送予定が 1/7。

思い立ったのが9月。そこからず~っと綱渡り。
試行錯誤と「わからない」の解消の連続です。

前にも書きました。
路頭に迷う子羊がごとく…、いえ、ネズミがごとく、小さく震えながら…。
あと少し♪
-------------------------------------------------------------------------------------

さて、今日は、先日完成した、大型カップボード(食器棚)のご紹介です。

カップボード、食器棚

仕上がりは美しく、木が本来持つ表情がよく引き出されています。

制作者のKさんは制作途中に転勤があり、
一時中断を挟みながらも、こちらに戻られて見事に完成までたどり着かれました。
私も完成した姿を見て、感無量。

カップボード、食器棚の引き出し

引出しは2杯。


引出しの包みアリ組接ぎ

そして、教室で定番になってきた包みアリ組接ぎで丁寧に作られています


カップボード、食器棚の上扉の開放

上扉を開けたところ。


カップボード、食器棚の下扉の開放

下扉を開けたところ。


カップボード、食器棚のクラウンモールディング

天板の飾りは、緩やかなカーブがシンプルで美しい表情を作っています。


カップボード、食器棚のオリジナル取っ手

そして、このカップボードで最も印象的なのがオリジナルの取っ手です。

一般的に、このような箱物は構造上どうしても形が似通いやすく、個性があまり出てきません。

箱物は、収納という機能を満たすため、基本形は箱型になり、その箱の組み合わせが食器棚や本棚、チェストなどへと発展していきます。

そのため、椅子などと比べると設計の自由度は小さく、「その人らしさ」が表れにくいです。

今回の作品は、全体として緩やかな曲線をベースとした個性がにじんでいますが、特にこの取っ手はアクセントとなり、
その人らしさが垣間見えます。


取っ手

上扉の取っ手


取っ手
下扉の取っ手

自然体で手を動かし物を作っていると、その人の本来の感性が作品に滲み出てきます。
迷い、ためらい、決断を繰り返しながら作業を進めていきます。
できあがったものは、やがて、その人自身を静かに映し出すようになってきます。

この取っ手の佇まいには、Kさんがもともとお持ちのやさしさや美しさが、そっとにじんでいるように感じました。

カップボード、食器棚の棚板

棚板は可動式で、位置変更ができるようになっています。


カップボード、食器棚のヒンジ

ゴールドの蝶番はチェリーとよく調和しています。


カップボード、食器棚のキャッチ

扉を磁石で受け止めるキャッチ。


制作風景

カップボード、食器棚の設計

設計は、A3方眼紙にビッシリ、抜かりなく、正確に記載されています。


カップボード、食器棚の脚

脚4本です。


カップボード、食器棚の側板

本体の両サイドの板です。

この板を、前後脚の2本の間に挟み、側面にします。

メープルモデューロのオリジナルの構造です。
板組み構造では、通常、脚4本を本体から出す事は出来ません。この構造だと、板組みのシンプルな構造のメリットを活かすと同時に、板組みの構造から脚4本を出すことが出来ます。


引出しの受け桟

引き出し2杯を支える、棚口と受け桟です。

ある部分のホゾは接着剤を入れず、可動できるようになっています


飾り脚の曲線

脚の飾り部分の接着です。

下写真が、完成後です。


カップボード、食器棚の飾り脚


カップボード、食器棚の仮組み

仮組み中。

カップボード、食器棚の扉取付

扉取付中。


カップボード、食器棚のヒンジ取り付け

蝶番取り付け。


棚ダボ取り付け

棚ダボ取り付け中。


カンナ仕上げ中

たくさん、カンナもかけられました。


今、Kさん、ミニデスクを作られていますが、

私がアドバイスすることはあまりありません。もう、かなりの実力を付けられておられるようです。


今回、こんな素敵な、オンリーワンのカップボードが完成し、本当に良かったです。

ご自宅に設置された写真を見せて頂きましたが、素敵な食器がた~くさん、並んでいました。

自分で作った食器棚に、自分の好きな器を並べる。何よりの贅沢ですね。

Kさん、本当にお疲れさまでした。


<福岡市、女性>


◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-342-9165