コンソール、はしばめ接ぎ(端嵌め接ぎ)

細部に宿る美しさ!コンソール

木工教室ブログ:2024/8/7

ブログの更新、随分、間が空きました。

いつもご覧いただいている方、申し訳ございません。


受講生の方の作品の準備材料が、

キャビネット、TVボード、本棚、学習机、ベンチ、下駄箱、…などと集中し、

また、8月末から外国から木工を学びに来られる、あるいは、諸事情で小学生の方が学びに来られる、

そして、受講生の方が国家試験の家具製作技能士の受験を希望される、

などと、新しい動きがあり、それに伴う私の準備が必要で…

言い訳ですね。


ここ10年くらい、 目標やスケジュールは作らず、流れに身を任せて、気が向くことだけを追いかけて…。

自由ではあるのですが、今回のようになると、ちょっとキツイ ♪





コンソール


今日は、6月に完成したSさんの作品のご紹介です。

Sさん、娘さんのご依頼を受けて作られました。

コンソールといって、玄関まわりや廊下に設置して、花を置いたり、上に絵を飾ったり…。


ある意味、機能よりも見た目が勝負。

シンプルに作れば、上に置くものが引き立ちます。



アレッ、何か違う!


Sさん、自宅で、作品のデッサンをされてこられましたが、

そのデッサンがとても美しい。

そして、デッサンは終わっていますので、今度は、実際の構造を決めたり寸法を決めたり実設計へ。

構造は一般的なテーブルの構造に寄せて設計されました。

そして、ある程度設計して、改めて、当初のデザインと比較すると、



アレッ、何か違う!

もともとのデザインと、雰囲気が違うのです。

もとのデッサンの方がイイ。

なんでやねん。

で、Sさんといろいろお話ししながら、

デッサンした素案に忠実に作ろう!!!

となりました。


●脚が天から地に向けて一様に細くなっている

Sさんの脚は、天板から脚底に向かって、一様に細くなっています。

通常、棚板までがストレートで、棚板から下を細くするのですが、

Sさんの場合、上から下まで、一様に細く見えます。


通常、傾斜した脚に、棚(または貫))を接合すると難しくなるため、

棚から下を細くするのですが、

今回、上から下に向かって一様に細く!


難易度が上がります。


●2段になった天板

天板の形状が、上部と下部で見た目が異なります。


コンソールの天板
コンソールの天板


これは、これでひと手間増えます。





ご興味の方へ

はしばめ接ぎ(端嵌め接ぎ)


端嵌め接ぎ、はしばめ接ぎ

写真の棚板の構造は、下になっています。

はしばめ接ぎ、端嵌め接ぎ


この棚板は、伸縮しますので、伸縮を吸収する措置が必要です。

右側の部材の中央部に、オスの突起が二つでていますが(2段ホゾ接ぎ)、

この接ぎ手の部分だけ左側の部材とガッチリ固定され、

両サイドの背の低い突起部分(小根:コネ)部分は、スライドします。

接着剤は、中央部の2段ホゾ接ぎ部分だけ塗布し、

小根(コネ)部分は、伸縮できるようにするため、接着剤は入れません。



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今回のSさんの作品、

上品、繊細、エレガント、シンプル、優雅、品格、

賛辞の言葉がいくつでも出てきそうで、

私自身に無いものが、すべて揃っていそうで… (^^¥



結果的には、難易度の高い作品になると同時に、他にはない「オンリーワン」の作品となりました。

素敵にできて良かったです。

お嬢さま、喜んで頂けるかな~


<鞍手郡、男性>




◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-342-9165