じぶん仕様の椅子、長台カンナ、反り台カンナ、四方反りカンナを使う

カンナを駆使して!じぶん仕様の椅子

木工教室ブログ:2024/2/22

今日は、Nさんの椅子のご紹介です。


教室に、この作品の元となる椅子があるのですが、

それは、Nさんにとっては、ちょいと小さい。

Nさん、貫禄のあるご体格をされていて、

それで今回、自分の体のサイズに併せた椅子を作られました。


椅子、チェアー

いわゆる、自分で作るオーダーメイドチェアです。


今回、椅子のサイズを変えるとともに、

「座面」と「背もたれ」を、座り心地がいいように変えられました。


見本品の座面はフラットですが、彫り込みを入れられました。

椅子、チェアーの座面

美しい座面ですね。

とってもキレイに仕上げられています。

椅子、チェアーの背もたれ

そして、こちらも、座り心地の改善のため、背もたれを曲線にされました。

見本品は直線です。

このちょっとした曲線があるだけで、背中の当たりの感じが、良くなります。



そして、今回の制作では、3種類の特殊なカンナを使われました。

反り台カンナ(そりだいかんな)。

四方反りカンナ(しほうそりかんな)。

そして、長台カンナ(ながだいかんな)。



反り台カンナ(そりだいかんな)

反り台カンナ

Nさん、後脚の曲線部をカンナで削られています。


反り台カンナ

こちらは、特殊なカンナと言いながら、教室では定番です。

曲面に削るためのカンナです。




そして失敗しがちなのが、

曲線部をずっと削っていたら、知らぬ間に、斜めってる~。

隣の面と直角ではないのです。

写真のように、時々直角の確認が必要です。




四方反りカンナ(しほうそりかんな)


すいません、Nさんの削っているところ忘れてしまって、別の方のお写真です。

椅子の座繰り





こちらのカンナは、彫り込む時に便利です。

曲面の形状が、小さいのから大きいのまで。

通常の平カンナを改造したのもあります。

座面を彫り込むのは、工房レベルでは、このカンナを使い分けて仕上げるのが早くて綺麗です。


昔、手作業を出来るだけ減らしたい(作業時間を短くしたい)と、

このカンナを使わず、サンディング系、刃物系の機械を使ったさまざまな方法を試したのですが、

カンナで始まって、一周回って、やっぱりカンナでした。


Nさん、サンドペーパー仕上げ中。




椅子の座面

完璧です。



長台(ながだい)カンナ

長台カンナ

奥のカンナが、 長台カンナといいます。

通常の平かんなより、長いです。

このカンナは、家具工房経営の方でも、あまり持たれていないと思います。

平面を出すときに使うカンナです。


長台カンナ

今回、ご自身で、2枚の板の接着されたのですが、

2週間後の次の教室にこられたとき、木が、結構反っており、

その反った材料の平面を出す必要がありました。

通常のカンナでも平面を出すことが可能なのですが、

今回、この「長台カンナ」を使って頂きました。



実は、カンナ台は、長さが長いほど、材料の平面が出しやすくなります。

平面が出しやすい?

じゃー、すべて長台カンナを使った方が良いのでは?

とも言えますが、



今の時代、家具の部品は、機械加工であらかじめ平面を出しているわけですから、

改めて、平面を出す必要はなく、このカンナを使う必要はあまりありません。

今回のような、広い面の平面を出すとき、

個人工房レベルの機械では、材料が機械からはみ出て、機械が使えません。

その場合、この長台カンナが役に立ちます。

但し、普通のカンナでも平面を出すことは、もちろん可能です。


また、長台カンナは、台の調整方法が通常と若干異なり、調整がちょっと悪いだけで、

すぐに削りに影響が出てくるため、通常のカンナよりメンテナンスに手間がかかります。




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横摺り(よこずり)をされています。

木目と平行ではなく、直行した方向に削られています。

板を削るときは、通常であれば「木目と平行」に削るところですが、

木の平面を出す際は、「横摺り(よこずり)」と言って、

「木目と直行」した方向に削る方が、平面が出やすいです。






Nさん、「じぶん仕様」の椅子、仕上げも良く、素敵に出来てヨカッタです。

Nさん、大変、お疲れさまでした。


<北九州市、男性>


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