今日は、Nさんの椅子のご紹介です。
教室に、この作品の元となる椅子があるのですが、
それは、Nさんにとっては、ちょいと小さい。
Nさん、貫禄のあるご体格をされていて、
それで今回、自分の体のサイズに併せた椅子を作られました。
いわゆる、自分で作るオーダーメイドチェアです。
今回、椅子のサイズを変えるとともに、
「座面」と「背もたれ」を、座り心地がいいように変えられました。
見本品の座面はフラットですが、彫り込みを入れられました。
美しい座面ですね。
とってもキレイに仕上げられています。
そして、こちらも、座り心地の改善のため、背もたれを曲線にされました。
見本品は直線です。
このちょっとした曲線があるだけで、背中の当たりの感じが、良くなります。
そして、今回の制作では、3種類の特殊なカンナを使われました。
反り台カンナ(そりだいかんな)。
四方反りカンナ(しほうそりかんな)。
そして、長台カンナ(ながだいかんな)。
反り台カンナ(そりだいかんな)
Nさん、後脚の曲線部をカンナで削られています。
こちらは、特殊なカンナと言いながら、教室では定番です。
曲面に削るためのカンナです。
そして失敗しがちなのが、
曲線部をずっと削っていたら、知らぬ間に、斜めってる~。
隣の面と直角ではないのです。
写真のように、時々直角の確認が必要です。
四方反りカンナ(しほうそりかんな)
すいません、Nさんの削っているところ忘れてしまって、別の方のお写真です。
こちらのカンナは、彫り込む時に便利です。
曲面の形状が、小さいのから大きいのまで。
通常の平カンナを改造したのもあります。
座面を彫り込むのは、工房レベルでは、このカンナを使い分けて仕上げるのが早くて綺麗です。
昔、手作業を出来るだけ減らしたい(作業時間を短くしたい)と、
このカンナを使わず、サンディング系、刃物系の機械を使ったさまざまな方法を試したのですが、
カンナで始まって、一周回って、やっぱりカンナでした。
Nさん、サンドペーパー仕上げ中。
完璧です。
長台(ながだい)カンナ
奥のカンナが、 長台カンナといいます。
通常の平かんなより、長いです。
このカンナは、家具工房経営の方でも、あまり持たれていないと思います。
平面を出すときに使うカンナです。
今回、ご自身で、2枚の板の接着されたのですが、
2週間後の次の教室にこられたとき、木が、結構反っており、
その反った材料の平面を出す必要がありました。
通常のカンナでも平面を出すことが可能なのですが、
今回、この「長台カンナ」を使って頂きました。
実は、カンナ台は、長さが長いほど、材料の平面が出しやすくなります。
平面が出しやすい?
じゃー、すべて長台カンナを使った方が良いのでは?
とも言えますが、
今の時代、家具の部品は、機械加工であらかじめ平面を出しているわけですから、
改めて、平面を出す必要はなく、このカンナを使う必要はあまりありません。
今回のような、広い面の平面を出すとき、
個人工房レベルの機械では、材料が機械からはみ出て、機械が使えません。
その場合、この長台カンナが役に立ちます。
但し、普通のカンナでも平面を出すことは、もちろん可能です。
また、長台カンナは、台の調整方法が通常と若干異なり、調整がちょっと悪いだけで、
すぐに削りに影響が出てくるため、通常のカンナよりメンテナンスに手間がかかります。
横摺り(よこずり)をされています。
木目と平行ではなく、直行した方向に削られています。
板を削るときは、通常であれば「木目と平行」に削るところですが、
木の平面を出す際は、「横摺り(よこずり)」と言って、
「木目と直行」した方向に削る方が、平面が出やすいです。
Nさん、「じぶん仕様」の椅子、仕上げも良く、素敵に出来てヨカッタです。
Nさん、大変、お疲れさまでした。
<北九州市、男性>