アクセントの効いた吊り引き出しの机(小机)

「二つのアクセント」が効いている!机

木工教室ブログ:2023/9/1

先日完成した、選択作品の机のご紹介です。

素敵ですね!


吊り引き出しの机(小机)

選択作品は、見た目が一緒なため、時折しかご紹介させて頂いていませんが、

今回、ちょっとしたアクセントが二つ有って、珍しく、



一つが、甲板の背側に入った濃いライン

黒檀のアクセントのある机



そして、もう一つが、引き出し前面の飾り。

引き出しの取っ手ではなく飾りです。

黒檀のアクセントのある机

この作品を作られたSさん、

ご自宅にアゲハ蝶が生息しており、餌やりで成長を助けていらっしゃるとのことで、

そのアゲハ蝶をイメージして…

です。

「こうもり」とか「バッドマン」というと、Sさんから怒られます。



二つのアクセントに使った木は黒檀で、

色が濃いこともあって、全体的にしまった感じがして、

また、チェリーが余計に引き立って見えるようです。

作品の一時展示をさせて頂いているとき、

何人から「イイですね~♪」

とのお声をお聞きしました。



吊り引き出しの机

ところで、取っ手は無いけど、引き出しはどうやって開ける?

実は、ノブで引っ張るタイプでなく、

引き出しの前板の下を引っ張ると出てきます。

「吊り引き出し」方式なのですが、この場合、引き出し下が解放されていますので、

下に手を入れて引っ張ります。

吊り引き出しの机

また、吊り引き出しは、出し入れが軽く、

とても軽快です。



吊り引き出しの机(小机)

上から見ても素敵です。

上手に完成できて私も嬉しいです。



実は、アクセントの2か所入れられたのは、諸事情がありまして、

その辺のお話は、Sさんから口止めされていますので、秘密でスイマセン ^^¥


<北九州市、男性>





ご興味の方へ


吊り引き出しは、出し入れが軽い! どうして?


前に書きましたが、

吊り引き出しは出し入れが軽く軽快で、心地よいです。

そこは良いのですが、

実は、設計で気を付けなければならないことあります。

さて、どういうことでしょうか?


●何故、出し入れが軽い?

それは、引き出しを出し入れするとき、本体と擦れ合う面積が小さく「摩擦が少ない」ためです。




上はこの作品の図面です。

図面の「吊り桟」は、机の本体側に固定しますが、

図の「8mm幅の部分」が、「引き出し」と「本体側の吊り桟」のすれ合う面となります。


引き出しはいろいろなタイプがありますが、

通常は、上の8mm幅の面積より大きな面積で、すれあっており(スライドレールなどの金具を使わない場合で)、

おおよそ倍以上の面積ですれ合っています。

だから、吊り引き出しの方が、出し入れが軽くなります。


そして、吊り引き出しの上記8mm幅の部分は、引き出しの側板の厚みの都合から、

一定以上は「大きくできません」 ので、すれ合う面積は、思うより小さくなりがち」です。



●設計で気を付けるとは?

すれ合う部分の面積が小さいということは、経年で、すれ合う分が「すり減りやすく」なります。

(ここで経年とは、数年ではなく数十年))

この作品の場合、すり合わせ部分が痛んで、引き出しの位置が多少下がっても

下は解放されて何かに当たるということはなく、また、修理も可能です。

でも、劣化が早いと、やはり悲しい。


私は基本的に吊り引き出しを避けていますが、

どうしてもの場合は、すれ合う部分を8mm以上は載せています。
(8mmに科学的な根拠はありません)

おのずと、引き出しの側板の厚さも「通常より厚く」しなければなりません。





◆木の家具工房「メープルモデューロ」
Tel:093-342-9165