先日完成した、選択作品の机のご紹介です。
素敵ですね!
選択作品は、見た目が一緒なため、時折しかご紹介させて頂いていませんが、
今回、ちょっとしたアクセントが二つ有って、珍しく、
一つが、甲板の背側に入った濃いライン
そして、もう一つが、引き出し前面の飾り。
引き出しの取っ手ではなく飾りです。
この作品を作られたSさん、
ご自宅にアゲハ蝶が生息しており、餌やりで成長を助けていらっしゃるとのことで、
そのアゲハ蝶をイメージして…
です。
「こうもり」とか「バッドマン」というと、Sさんから怒られます。
二つのアクセントに使った木は黒檀で、
色が濃いこともあって、全体的にしまった感じがして、
また、チェリーが余計に引き立って見えるようです。
作品の一時展示をさせて頂いているとき、
何人から「イイですね~♪」
とのお声をお聞きしました。
ところで、取っ手は無いけど、引き出しはどうやって開ける?
実は、ノブで引っ張るタイプでなく、
引き出しの前板の下を引っ張ると出てきます。
「吊り引き出し」方式なのですが、この場合、引き出し下が解放されていますので、
下に手を入れて引っ張ります。
また、吊り引き出しは、出し入れが軽く、
とても軽快です。
上から見ても素敵です。
上手に完成できて私も嬉しいです。
実は、アクセントの2か所入れられたのは、諸事情がありまして、
その辺のお話は、Sさんから口止めされていますので、秘密でスイマセン ^^¥
<北九州市、男性>
ご興味の方へ
吊り引き出しは、出し入れが軽い! どうして?
前に書きましたが、
吊り引き出しは出し入れが軽く軽快で、心地よいです。
そこは良いのですが、
実は、設計で気を付けなければならないことあります。
さて、どういうことでしょうか?
●何故、出し入れが軽い?
それは、引き出しを出し入れするとき、本体と擦れ合う面積が小さく
「摩擦が少ない」ためです。
上はこの作品の図面です。
図面の「吊り桟」は、机の本体側に固定しますが、
図の「8mm幅の部分」が、「引き出し」と「本体側の吊り桟」のすれ合う面となります。
引き出しはいろいろなタイプがありますが、
通常は、上の8mm幅の面積より大きな面積で、すれあっており(スライドレールなどの金具を使わない場合で)、
おおよそ倍以上の面積ですれ合っています。
だから、吊り引き出しの方が、出し入れが軽くなります。
そして、吊り引き出しの上記8mm幅の部分は、引き出しの側板の厚みの都合から、
一定以上は
「大きくできません」 ので、すれ合う面積は、思うより
「小さくなりがち」です。
●設計で気を付けるとは?
すれ合う部分の面積が小さいということは、経年で、すれ合う分が「
すり減りやすく」なります。
(ここで経年とは、数年ではなく数十年))
この作品の場合、すり合わせ部分が痛んで、引き出しの位置が多少下がっても
下は解放されて何かに当たるということはなく、また、修理も可能です。
でも、劣化が早いと、やはり悲しい。
私は基本的に吊り引き出しを避けていますが、
どうしてもの場合は、すれ合う部分を8mm以上は載せています。
(8mmに科学的な根拠はありません)
おのずと、引き出しの側板の厚さも
「通常より厚く」しなければなりません。