今日は先日完成した、Mさんの作品からです。
スツールって、背もたれの無い椅子のことですが、
写真を見ると、どうみても椅子ではありません。
実は70年程前、ドイツで設計された椅子で、実際にデザイン学校で、椅子として使われていました。
とってもシンプルです。
今の時代は、基本、シンプルの時代。
古いヨーロッパの街並みを見ると、建物の各所に、
彫刻などの装飾が施され、華麗だったり、荘厳だったり、…。
シンプルとはほど遠い。
実は、シンプルの時代になったのは、そう昔の話ではなく、
約100年ほど前。
故意な装飾を廃して、合理性、機能性の追求してシンプル。
そんな、切り変わりの時代に生まれた椅子がこの椅子で、「ウルムスツール」といいます。
そして、椅子だけでなく、多目的に使えます。
いわゆる、多機能。
インテリア業界では、とても有名な椅子です。
白矢印は、通しホゾ、
青矢印は、はしばめ接ぎ、
コーナーのジョイントは、定番の「組み接ぎ」で、とても強固です。
丸棒は、カンナで削って丸くされました。
Mさん、設計は、ご自分用にアレンジされ、
ややこしい加工もいくつかありましたが、
上手にリプロダクトされています。
良かった♪
<北九州市、男性>
ご興味の方へ
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シンプル、モダンなどという言葉を聞いていつも思う事。
その言葉は、西洋が「装飾」の過去と比較して、シンプルモダンと言っているだけで、
日本は、遠い昔から、基本、シンプル。
「花のアレンジ」がとてもわかりやすのですが、
西洋の「フラワーアレンジメント」は、バスケットに花を詰めるだけ詰め込んで、
反対に「生け花」は、出来るだけ無駄を排除して、空間を見せて…。
そのシンプルさは、和室を見ても、似たようなことを感じます。
日本には、他国に見られない「美しさ」がたくさんあります。
そしてそれは、日本人の精神性や美意識に由来しているようで、
今の私たちの心にも根付いているはずです。